間間間



間間間(さんけんま)は初音の道と呼ばれる谷中の尾根道にあります。 ここは江戸時代には感応寺(今の天王寺)門前町として町家が並ぶ通りでした。 明治からの旧町名は谷中初音町一丁目で、現町会名にその名を留めています。 建物は大正八年(1919)築の町家です。昭和期には文房具屋兼雑貨屋を営んでいましたが、 昭和の終わり頃には、店は閉めて静かな住宅となっていました。


平成14年、家の持主が変わった折に、町家に住んで活用したい若者が集まり、 掃除や活用を始めました。半年後、NPOたいとう歴史都市研究会が持主と定期借家契約をし、 その元で住人と活用者が場所と時間をシェアし、日々協力し合って暮らしています。



木造二階建て平入り、江戸町家の流れを汲み、軒を深く出す「出桁造り」、 三間間口(約5,45m)を通りに開く前土間式の町家です。この空間を生かそうと「間間間」と名付けました。 1階は店と居間で2階に天井の高い座敷・居室があるのは近代町家の特徴です。屋根は元々瓦葺でしたが今は金属板です。

平成15年、まず水周りと土台を改修し、シャワーを設置。2年後、人が集いやすいよう、 板の間だった店の一部を土間に戻し、カフェ用に新たな厨房を設けました。 はずした床材はカウンターなどに転用し、近所の家から頂いた建具も活用。 建物の構造や設備の改善は専門家に頼み、掃除や造作は住人・活用メンバーの協力で行いました。 お店の常連メンバーも参加し、折々の小さな修繕活動を重ねています。

道に開くつくりの家を、現代の町でどう生かすか?谷中や木造町家、 手作りの味わいが好きな住人・活用メンバーが日々工夫し、訪れる人やご近所との輪を少しずつ広げています。 老若男女、様々な人がくつろぎ、寄り合い、町と人をつなぐ場になることを願っています。

現在は喫茶店として活用されています。