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音楽&美術×平櫛田中邸2012年6月9日

音楽&美術×平櫛田中邸

2012年6月9日(土)


ルネサンスの光と陰
ボッティチェルリの「春」と「ヴィーナスの誕生」に込められたメディチ家の野望と悲願
「春」と「ヴィーナスの誕生」に隠された3つの歌が真実を告げる!

講師:生江隆彦氏(音楽・美術研究家)

会場:上野桜木・平櫛田中邸
時間:開場13:30/開演14:00~17:00(予定)
参加費:一般 1500円  たい歴会員・地元住民割引 1300円

NPO法人たいとう歴史都市研究会(担当:菅原、中村)
FAX:03-5834-8044 E-mail:ichidatei@taireki.com 携帯電話:090-6170-4099
申し込み方法:名前、住所、電話番号、参加人数、日程をご記入の上、FAXもしくはE-mailでお申し込みください。
主催:NPO法人たいとう歴史都市研究会

※尚、学生(院生を含む)の方は、お一人500円で聴講していただけます。
参加費の一部を平櫛田中邸はじめ谷中界隈の歴史的建造物の保存活用協力金とさせていただきます。

【外部トイレ利用のお願い】
平櫛田中邸ではトイレがご使用いただけません。
すぐ近くに公衆トイレがありますので、休憩時間等にそちらをご利用ください。
(略図にて行き方をご案内致します)

 

音楽、それは宇宙の調和をあらわすもの・・・プラトンの「ティマイオス」によって全ヨーロッパに広まったこのピュタゴラス派の思想は、その後、17世紀まで2000年以上もの長きにわたり、ヨーロッパの宇宙観の中心であり続けました。そして、天文学のみならず、キリスト教、哲学、科学など、あらゆる分野に絶大な影響を及ぼしています。文芸や音楽などでは現在でもその名残が見られます。
時は4,5世紀、ビザンティンの教父たちは偶像崇拝を禁じられている中、細心の注意を払いつつ敬意を込めてイコンの制作にあたります。そして宇宙の調和、つまりピュタゴラス音階と調和音の理論に従って構成した神の似姿を描きました。そこでは、イエスやマリアの手足は音符を表し、その連なりはサンクトゥス(ミサ通常文)などの賛歌の楽譜となっているのです。信仰を伝え神の恩寵にあずかり、神との合一に至る“窓”としてのイコンに、最もふさわしいものと考えたのでしょう。
東方正教会では、最初のイコンの形を教会に公認された伝統としてそのまま維持しますが、西方教会に伝わったこの技法は、思いもかけぬ大変貌を遂げます。12世紀ルネサンスの洗礼を受けた西ヨーロッパでは、まず、ゴシック期にその変化の第一歩をしるし、イタリア・ルネサンス期には、美術的表現も音楽的表現も、ともに類まれな大発展を遂げます。
本セミナーにてご紹介するボッティチェルリの「春」と「ヴィーナス誕生」は、キリスト教絵画ではありませんがイコンに始まる宗教画の伝統的技法を存分に駆使した、まさに、イタリア・ルネサンスを代表する作品と言えるものです。
キリスト教は古代の密儀宗教の集大成であるにもかかわらず、自己以外の異教の密議・秘儀・魔術を闇に葬ってきました。しかし、ボッティチェルリはそれら古代の伝統をこの2つの作品の中に甦らせているのです。これこそまさに、古代の再生・復興・・・ルネサンスなのです!
15世紀の後半、ギリシア古典の翻訳というコジモ・デ・メディチの命を受けたマルシリオ・フィチーノは、プラトンの全著作のラテン語訳を成し遂げます。さらに、ヘルメス文書を始めとする古代神学や占星術、魔術思想の翻訳も。それらの中には、あのオルフェウス讃歌やゾロアスターの格言などもありました。これら古代の異教秘儀・魔術・占星術が、如何に、そして何故、メディチ家と結びつくのか?
それを解く鍵は、決して平和な時代ではなかったルネサンス、その合従連衡、陰謀渦巻く戦乱の世を生き抜いたロレンツォ・デ・メディチの野望と悲願にあります。ロレンツォの野望と悲願とは?
そして、それを如何にして実現しようとしたのか?
そのすべては、「春」と「ヴィーナス誕生」に秘められた3つの歌と隠されたサインが解き明かしてくれます。「春」にはロレンツォの“謝肉祭の歌”11編より“バッカスの歌”、そして、ロレンツォの弟ジュリアーノとフィレンツェ一の美女シモネッタを謳い上げた詩人ポリツィアーノの“スタンツェ”から68節の2曲が、そして「ヴィーナス誕生」には、同じくロレンツォの“謝肉祭の歌”より“七つの惑星の歌”が隠されています。それに加えて、なんとあの“オルフェウス讃歌”までもが!
この「春」と「ヴィーナス誕生」は、ヴァールブルクの指摘通り深い絆で結ばれていた作品でした。
しかし、そこに秘められていたもの、すなわちこの2つの作品の真の意味は、われわれの想像をはるかに超えるものでした。
「春」の中央に佇む地上のヴィーナスの右手の先にあるのは、ヴィーナスの神木ミルテが茂る小さなアーチです。その枝葉の隙間から垣間見る天空は、O,C,L,Tと読めます。
O,C,L,T 、OCCULTOのことです。
なんと、ロレンツォ、ボッティチェルリ、ポリツィアーノたちは、大胆にもこの絵の中央で”オカルト宣言“をしているのです。しかも、あたかも天からの声であるかのように!

さあ、役者は揃いました。彼ら一世一代のルネサンス劇場、初日の幕が、今まさに上がります!

【 講師プロフィール 】
生江隆彦(なまえたかひこ)
音楽・美術研究家
1951年生まれ。東京大学文学部美学芸術学専修課程卒業。ビザンツ・イコンから、ゴシック、ルネサンス、バロックと、名画の中に秘められた数々の歌を読み解き、音楽と美術が結びついている世界観が存在していたことを研究。絵の中の歌に導かれた新説として、2011年8月に「隠された歌は真実を告げる」全8巻(http://tanto.wook.jp/)を電子書籍にて出版。