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9月2012

音楽&美術×カヤバ珈琲 9月29日(土)

音楽&美術×カヤバ珈琲

レオナルド・ダ・ヴィンチはなぜ
「岩窟の聖母」を2枚描いたのか?
ガブリエルの右手が その真実を告げる!

講師:生江隆彦氏(音楽・美術研究家)

日時:2012年9月29日(土)

 

◆会場:谷中・カヤバ珈琲 2階和室
 〒110-0001 東京都台東区谷中6-1-29 (JR上野駅から徒歩10分)

◆時間:開場14:00/開講14:30~17:00(予定)

◆参加費:一般 2000円 、たい歴会員・地元住民割引 1800円

☆セミナー休憩時間に「カヤバ珈琲」の珈琲or紅茶を提供させて頂きますので、
 受付時にご希望をお聞かせ下さい。

※尚、学生(院生を含む)の方は、お一人1000円で聴講していただけます。
参加費の一部を谷中界隈の歴史的建造物の保存活用協力金とさせていただきます。


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◆問い合わせ・申し込み先:
NPO法人たいとう歴史都市研究会(担当:菅原、中村)
FAX:03-5834-8044 E-mail:ichidatei★taireki.com(★を@にかえてご使用ください)
携帯電話:090-6170-4099

◆申し込み方法:
名前、住所、電話番号、参加人数、日程をご記入の上、FAXもしくはE-mailでお申し込みください。
主催:NPO法人たいとう歴史都市研究会
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レオナルド・ダ・ヴィンチはなぜ
「岩窟の聖母」を2枚描いたのか?

音楽、それは宇宙の調和をあらわすもの・・・プラトンの「ティマイオス」によって
全ヨーロッパに広まったこのピュタゴラス派の思想は、
その後、17世紀まで2000年以上もの長きにわたり、ヨーロッパの宇宙観の中心であり続けました。
そして、天文学のみならず、キリスト教、哲学、科学など、あらゆる分野に絶大な影響を
及ぼしています。文芸や音楽などでは現在でもその名残が見られます。
時は4,5世紀、ビザンティンの教父たちは偶像崇拝を禁じられている中、
注意と敬意を込めてイコンの制作にあたります。そして宇宙の調和、
つまりピュタゴラス音階と調和音の理論に従って構成した神の似姿を描きました。
そこでは、イエスやマリアの手足が示す音程は、サンクトゥス(ミサ通常文)などの
賛歌の楽譜となっているのです。信仰を伝え神の恩寵にあずかり、神との合一に至る
“窓”としてのイコンに、最もふさわしいものと考えたのでしょう。このイコンに音楽、
すなわち宇宙の調和を描き込むことは、主の創造した宇宙、そこに満ちている美しい調和、
即ち音楽にイコンという形を与えることを意味します。それは、古代の密議宗教の
集大成とも言うべきキリスト教の、まさに、秘儀だったのではないでしょうか。
東方正教会では、最初のイコンの形を教会に公認された伝統としてそのまま維持しますが、
西方教会に伝わったこの技法は、思いもかけぬ大変貌を遂げます。
12世紀ルネサンスの洗礼を受けた西ヨーロッパでは、まず、ゴシック期にその変化の
第一歩をしるし、イタリア・ルネサンス期には、美術的表現も音楽的表現も、
ともに類まれな大発展を遂げます。その中では、やはりボッティチェルリと
レオナルド・ダ・ヴィンチのイタリア・ルネサンスを代表する2大巨匠が、
この伝統的秘儀の技法の上でも圧倒的に抜きん出ています。
今日は、レオナルド・ダ・ヴィンチのふたつの「岩窟の聖母」のご紹介をしますが、
ひとつはパリのルーブル美術館、ひとつはロンドンのナショナルギャラリーにあります。
このふたつの作品について、ほとんどすべての美術史研究者は、ルーブル版がオリジナルで、
ロンドン版はその後の別作ないしレプリカであると結論づけています。
ところが、歴史研究家の眼で見ていくと、つまり、制作者と注文者の訴状などの歴史資料を
追っていくと、ルーブル版の影も形も出てこないのだそうです。
ルーブル版が確認されるのは1625年になって初めてで、その結果、この二つの「岩窟の聖母」
の存在が“ルネサンス美術史における最も錯綜した二つの難問の一つ”といわれています。

ちなみにもう一つは、ボッティチェルリの「春」と「ヴィーナス誕生」の成立の経緯と対に
なっている意味についてですが、こちらはすでに6月の講演で“難問”の解決をいたしました(笑)。
なぜ、レオナルド・ダ・ヴィンチは「岩窟の聖母」を2枚描いたのか。その真実は、「春」と
「ヴィーナス誕生」のときと同じく、絵に隠された歌・・・つまり伝統的秘儀の技法による楽譜が、
驚くほど雄弁に物語ってくれます。二つの絵には、画家本人の秘めた思いが込められています。
いわば、最高の直接資料といえるものでしょう。そしてルーブル版とロンドン版では、
隠されたメッセージに圧倒的な差があります。二つの作品のわずかな違いは、天使ガブリエルの
右手とお尻です。ロンドン版にはガブリエルの右手は描かれていません。そして天使のお尻も
目立ちません。もちろん他にも光輪やヨハネの杖とか細かい違いはありますが、レオナルドに
とっては、おそらく大した問題ではないはずです。私は、このガブリエルの右手をイエスの頭上から
外せという注文主の修正要求があったと考えています。そしてそれが、レオナルドをして別な
新しい板に「岩窟の聖母」ロンドン版を描かしめた理由なのです。さあ、「春」と「ヴィーナス
誕生」に続き、もうひとつの“ルネサンスの最も錯綜した難問”の謎ときをお聞きください!

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【 講師プロフィール 】
生江隆彦(なまえたかひこ)音楽・美術研究家
1951年生まれ。東京大学文学部美学芸術学専修課程卒業。
ビザンツ・イコンから、ゴシック、ルネサンス、バロックと、名画の中に秘められた数々の歌を
読み解き、音楽と美術が結びついている世界観が存在していたことを研究。絵の中の歌に導かれ
た新説として、2011年8月に「隠された歌は真実を告げる」全8巻(http://tanto.wook.jp/)を
電子書籍にて出版。
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